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…5…



 「ゆなちゃん、なかないで。」

 気づくとようくんが、ゆなの頭をなでてたの。
 ゆなははっとして、泣きやんだの。

 「ぼくとおべんと、はんぶんこしよう!
  ゆかり先生にお皿かりてくるから、ちょっとまっててね。」

 ようくんはそう言って、先生の方へ駆けていったの。
 そして紙皿を持って戻ってくると、ようくんのお弁当を半分それにのせて、ゆなの前に差しだしてくれたの。
 
 「ゆなちゃん、たべよ!」
 「ようくん、ありがとう。」

 ようくんにすすめられるままに、私は紙皿の上のお弁当を食べたの。
 とってもおいしかったよ。
 でも、やっぱりおなかいっぱいにはならなかったの。
 ゆながおなかいっぱいにならないってことは、きっとようくんもそうだと思うの。
 でも、ようくんはニコニコしておべんと食べてたの。

 ようくんってやさしいなぁ・・・。
 ちゃんと、お礼したいなぁ・・・・・・

 「ようくん、きょういっしょにかえろー。」
 「うんっ!」



 それから数時間後・・・。

 「せんせーさよーなら、みなさんさよーなら。」

 帰りのあいさつがおわってすぐ、ゆなは教室をとびだしたの。
 そして、園庭をかけぬけ、おかあさんの待っている門の前までいったの。

 「おかーさん、あのね、きょうようくんもいっしょにかえるね。」
 「はいはい。」
 「あ、ようくんのおばあちゃん、こんにちは。」
 「由奈ちゃんこんにちは。今日も元気じゃね。」

 「ねぇねぇ、おかーさん、こーえんよってもいい?」
 「はいはい。」
 「わーい!ようくんブランコのろう!!」

 そういって、由奈は遥の腕をつかんで公園まで走った。






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