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…6…



 ブランコをこぎながら、由奈は話しをはじめた。

 「ようくん、きょうはおべんと、ありがとう。ゆな、なんかぼーっとしてて・・・」
 「いいよ、そんなの。それよりおなかすいてない?」
 「うーん、ちょっとすいてるかな?でも、だいじょうぶ。」

 そこまで言うと、由奈はブランコを漕ぐ手を止めた。

 そして由奈は、通園バックの中からチョコの包みを取り出し、
 遥の目の前に差し出した。

 「ようくん、コレ、たべて!」

 遥は、とてもおどろいた顔をして声をあげた。

 「えっ?」
 「ゆな、ようくんにおれいがしたいの・・・。」

 そう言ったら、ようくんはにっこり笑って言ったの。

 「ありがとう、ゆなちゃん。」

 その時、ようくんがとても優しい表情(かお)だったから、
 ゆなは一瞬ドキッとしたの。

 「これ、あけてもいい?」

 そういって、水色の小さな包みを指差す遥。

 「うん!!」

 小さな包みの中には、ハート型のチョコが1つ入っていた。

 「ゆなちゃん、このチョコいっしょに食べよ!」

 そういって、ようくんはチョコを半分に割っちゃったの。

 「え?」

 目の前に半分になったチョコの片割れを差し出され、ゆなは困ったの。

 「だめだよ・・・おれいにあげたんだから、全部ようくんが食べて。」
 「でも、ゆなちゃんもおなかすいてるでしょ?」
 「それはそうだけど・・・」
 「それに、いっしょに食べたほうがおいしいとおもうよ。」

 無理矢理ゆなの手にチョコをにぎらせて、ようくんはそういったの。
 ゆなは、なんかうれしくなって、こう返事をしたの。

 「うん!!いっしょに食べると、おいしいね。」





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