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…4…



 そして、バレンタインデー当日―。

 「由奈はいらないって言ってたけど、これ、一番好きなコにあげなさい。」

 そう言って、お母さんは私の通園バックに小さな包みをしのびこませた。

 「え、でも・・・」
 「よーく考えてからわたすのよ!」

 そして、お母さんはニコッと笑った。



 幼稚園についてからも、包みのことが気になって、私はそわそわしていた。

 「おはよー、ゆなちゃん。」
 「あ、おはよー、まみちゃん。」
 「ゆなちゃん、チョコもってきた?」
 「え、どーして?」
 「だって、ゆなちゃんはようくんにあげるんでしょ?」
 「なんで?」
 「ちがうの?ゆなちゃんはようくんのこと好きだと思ったから・・・。」

 たしかに、ようくんのことは好きだけど・・・。
 でも・・・ケンちゃんだって大好きだもん。
 困ったなぁ・・・・・・

 その日は1日、チョコのことで頭がいっぱいでぼーっとしていた。

 そして、お弁当の時間・・・。

 ストーブであたためていたお弁当箱をゆかり先生から受け取り、
 自分の席へと歩きだした直後、私は何かにつまずいて転びそうになった。

 グワシャーン!!

 お弁当が中身をぶちまけて、床にころがっていた。
 私はびっくりして泣きだしていた。
 




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