ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第21話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 由奈は、リカと多恵子の『遥に迷惑をかけている』という言葉に

 ひどく動揺していた。

 『遥にだけは、これ以上迷惑をかけられない』と思いながら、

 いつでも遥にたよってしまっている自分を情けなくも思った。

 

 大学へ行くことへの不安は大きかった。

 『これからも遥に迷惑をかけてしまう・・・』

 そんな思いが頭から離れなかった。

 もちろん、由奈には遥のいない人生など考えられないのだが、

 その一方でこのままでいいのか不安になってしまうのだった。

 

 

多恵子「リカ、送別会の話、どうする?やっぱやめる?」

リカ「ん〜、大丈夫じゃないかな。あれだけプレッシャーかけたら

   立ち直ってくれるよ、きっと・・・。」

 

 本当のこと言うと自信ないけど、立ち直って大学に進学してくれるって

 信じたいの・・・

 

多恵子「そうだね、リカ。由奈を信じるしかないもんね。」

リカ「多恵子、ありがと。」

多恵子「ん、何が?」

 

 いいヤツじゃん、多恵子。

 

多恵子「送別会の幹事は佳代と清香でいいよね。言いだしっぺだし。」

リカ「意義な〜し!」

 

多恵子「じゃ、連絡しとくね。」

 

 

 

 

 

  数日後―。

 由奈のお別れ会が佳代と清香の主催で開かれた。

 

リカ「由奈、これからもがんばってね。」

智恵理「友達がお医者さんになるなんて、すごいよ。」

佳代「智恵理、あんた気が早すぎ!でも私たちもうれしいよ。」

多恵子「やだなぁ、みんなしんみりして・・・。

    せっかく清香が作ってくれたごちそうが冷めちゃうよ!!」

 

 テーブルの上には清香が半日かけて作ったスープ、オードブル、

 チキンにサラダといったものが所狭しとならんでいた。

 

清香「いっぱいあるから、じゃんじゃん食べて。」

佳代「清香の力作なんだ。由奈、たくさん食べて・・・って智恵理!」

智恵理「清香ちゃんすごーい。こんなおいしいポタージュはじめて!!」

佳代「あんた、由奈より先に口つけて・・・・・・」

 

由奈「みんなありがとう。私・・・・・・」

 

 由奈は胸がいっぱいで、それしか口にできなかった。

 いい友達を持って幸せだと実感していた。

 

 

 

 


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