ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第20話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

リカ「なんか、結構カンタンにわかってくれたなぁ・・・。」

多恵子「そだね。でも、やっぱり少しかわいそうだったな。」

リカ「そうね。」

多恵子「心から笑えるくらい元気な由奈に会えるのは、いつなのかなぁ?」

リカ「大丈夫よ、きっと。今はダメでも、きっと大丈夫。

   遥くんといっしょならね。」

 

 リカの言葉は自分自身に言い聞かせた言葉でもあった。

 が、その言葉に多恵子は食いついた。

 

多恵子「それってどーゆー意味?」

リカ「あのふたり、単なるおさななじみじゃないわよ。愛しあってる。

   でも由奈はその気持ちを認められないでいるのよ。」

多恵子「そんなのって不自然じゃない!!」

リカ「ん・・・そうだよね・・・・・・。」

 

 リカは遠くを見るような目をする。

 多恵子はわいてしまった疑問で困惑した。

 が、次の瞬間

 

 コツン

 

 握りしめたこぶしがリカの頭に直撃した。

 

多恵子「何があったの?」

リカ「イターイ!」

多恵子「自分だけで理解した(わかった)気になるの、ズルイよ!」

リカ「わかった、話すよ・・・。

   本人から聞いたわけじゃないから、はっきりとはわからないけど・・・

   あの娘、1度は遥くんとつきあっていた。

   でも、自分から別れを告げてるらしいのよ。」

多恵子「どうして?」

 

 リカは堰を切ったように話し続けた。

 由奈が遥に別れを告げた後に、学校にもよく来ていたしつこい男とつきあい

 はじめたらしいこと。その男とも別れ、もとの鞘におさまればいいところを、

 由奈が意地を張り続けているようだということ。

 

 ひととおり、話を聞いて多恵子が口をはさんだ。

 

多恵子「意地の張り合いなら、遥クン同じ大学を受けたりしないんじゃない

    かなぁ。由奈は何か理由があって、自分がゆるせないのよ、きっと。

    私にはそれが何かはわかんないケドね。」

リカ「ん〜、そんなもんかなぁ?」

多恵子「だって、由奈ってとことん自分を許せない娘だもの・・・・・・」

 

 

 その後の多恵子はというと、みんなの前ではこれまでどおりミーハーして

 いるのだが、リカの前では本音でまじめな会話をするようになった。

 

 

 

 


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