ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第15話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 3時間前のことだった。

 多恵子は病院実習のレポートを必死になってまとめていた。

 と、いうのも多恵子の実習先の病院は人手不足だった。

 毎日必死で働いていた多恵子は医事課の人たちに気に入られ、

 病院側から学校へ実習期間の延長要請があった。

 実習を受け入れてもらっていることじたい、ありがたいことなので

 学校は快諾した。

 多恵子は2週間の実習でクタクタだったのだが、『これも勉強だ』と

 気合を入れなおし、追加2週間、計4週間の実習を終えたばかりだった。

 友人たちはすでに春休みに入っているのだが、多恵子にはレポート提出と

 再試という大仕事がまだ残っていたのだ。

 

 目を血走らせていた多恵子の所へ、思わぬ来客があった。

 

 ピンポーン

 

多恵子「は〜い!どなたぁ〜?」

 

 ドアを開けると、そこには見覚えのある顔がふたつ。

 

「元気?」

「急にごめんね。」

 

 クラスメイトの佳代と清香だった。

 

多恵子「元気だよぉー。久し振り。よくこの家わかったね。」

佳代「多恵ちゃん、実習延長だったんだよね、お疲れさま。」

多恵子「そーなの。疲れすぎてSMAPの番組も見れなかったんだよ。

    散らかってるけど、ふたりともあがって。」

 

 多恵子は机の上に散らかし放題だった、書きかけのレポートを片付けながら、

 ふたりにあがるようにうながした。

 

清香「実はね、相談があってきたの。」

佳代「私も急に清香が来てくれて、ちょっとびっくりなのよ。」

 

 そうだん?

 

佳代「智恵理に話すとややこしくなりそうだからさ、先に多恵ちゃんに会いに

   きたの。」

清香「あのね、由奈のことなんだけど・・・・・・」

佳代「大学合格したじゃない?」

多恵子「うんうん。」

 

 そっか、由奈大学合格したんだ。

 最近うめさんとも連絡とってないしなぁ・・・

 

清香「私たちもこれからは忙しくなるし・・・・・・会えなくなっちゃうと

   思うの。」

佳代「だからさ、由奈の送別会やらない?」

多恵子「そうだね。じゃ、私はリカに話してみるよ。

    智恵理にはもっと話が決まってから伝えたほうがいいよね。」

佳代「多恵ちゃんわかってるじゃん!」

多恵子「この1年であのコのことはだいぶわかったつもり。」

清香「多恵ちゃんのイメージも変わったと思うよー。」

多恵子「今、SMAPの情報どころじゃない生活だから・・・ね。」

清香「おつかれさま。じゃ、悪いけどリカによろしくね。」

多恵子「うん、まかせといて!」

佳代「レポートの邪魔してゴメンね。」

佳代・清香「じゃ、またね。」

 

 由奈かー。

 由奈のお母さんの告別式も出れなかったんだよなぁ・・・。

 由奈、元気になったのかなぁ?

 

 そう思いながら多恵子はリカの家の番号を押していた。

 

 

 

 


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