ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
3.解けない謎
第12話
Writer:星野さゆる
由奈「つかまえたーっ!もーぉ逃げらんないからねー。覚悟しなさい!!」 遥は由奈が少し元気を取り戻した安堵感から、わざとつかまった。 遥「わかったよ。ホラ、もう好きにしろっ!!」 そう言ってわざとふてくされたようにトレーナーを脱ぎ捨て、座り込んだ。 由奈「もぉー、素直じゃないんだからー。」 そう言いながら、由奈は遥のトレーナーを洗濯機に放りこんだ。 由奈には遥がうめに言い訳をする姿がまるで手にとるようにわかっていた。 由奈「ありがと、遥。」 遥「何だよ、いきなり!!ぶきみだなぁ〜。」 由奈「だって、遥・・・優しいから・・・・・・。」 そのひと言で遥は真っ赤になった。 ふたりは黙り込み、洗濯機の動く音が止まるのをただじっと待っていた。 遥「なぁ、由奈・・・」 由奈「・・・・・・」 遥「メゲるなよ。背負い込むなよ。」 由奈「う、うん。」 遥「オレがそばにいるから。」 由奈「うん、わかってるよ。」 遥「ホントにわかってんのかなぁ?」 由奈「わかってるよ!いつもありがと。」 チュッ 由奈は遥の頬にKissをした。 表面上、由奈は夕食の用意をしながら、遥はテレビを見ながら、 乾燥機が止まるのを待っていた。 が、遥の頭の中は由奈のことでいっぱいだった。 (いつになったら由奈はもとどおりに戻れるのだろう?) そう思うだけで、遥の頭はいっぱいになってしまうのだった。 由奈は由奈で悩んでいた。 本当に医者になる道をあきらめるのか、医療とは全く別の道を探すのか、 どうすればいのかわからなかった。 そんな由奈にとって、すぐそばにいる遥だけが心の支えになっていた。 |
Copyright 2005 星野さゆる. All rights reserved.
Never reproduce or republicate
without written permission.