ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第7話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 病院へついても真奈実の意識は戻らなかった。

 脳も心臓も正常に動いているのにダメなのだ。

 婦警に付き添ってもらい検査をすませた由奈は、父の秋生と姉の理奈に連絡して

 来てもらった。

 由奈の心はとても強い罪悪感に押しつぶされそうだった。

 

 (私のせいだ・・・)

 その言葉はどんどんボリュームがあがっていくようだった。

 

 3人は交代で泊まりこむことを決め、

 その夜はそのまま由奈が泊まることになった。

 

 

  

 

 

 

 

 

 その夜、午前0時をまわったころだった。

 真奈実はぱっちりと瞼をあげた。そう、意識が戻ったのだ。

 

真奈実「由奈、由奈・・・」

 

 息を切らしながら、彼女は由奈を呼んだ。

 

由奈「母さん!!・・・」

真奈実「由奈、大丈夫だったのね。よかった。」

 

 真奈実は大きく息を吸った。

 

真奈実「あなたに話すべきことじゃないと思って、ずっと黙ってたことがあるの。

    でもやっぱり、本当のことを言っておいた方がいいわね。」

 

 真奈実はゆっくりと話しはじめた。

 

由奈「母さん、わかってる。私は父さんの子じゃないんでしょう?」

 

 由奈は自分を落ち着かせるためにゆっくりと答える。

 

真奈実「何ですって!あー、亮にでも吹き込まれたのね。それは誤解よ。」

由奈「でも・・・」

 

 真奈実は不安げな由奈の顔を見て、たまらない気持ちになり、

 言うつもりのなかったことまで話しはじめる。

 

真奈実「父さんの子じゃないのは理奈の方なのよ。」

由奈「姉さんが?」

真奈実「もう20年以上前になるわ・・・私がとても荒れていた時期があったの。

    その頃の私は舞台女優として、ある程度の地位を確立しつつあったの。

    でも孤独だった。仲良しだった由香梨と菜美も遠ざかっていったわ。

    本当に自分ひとりだったの。

    淋しさに耐えられなくて、たくさんの男の人とつきあったわ。

    でも淋しさが増すばかりだった。」

由奈「母さん・・・・・・」

真奈実「そんな時だったわ。亮が生まれたのは・・・

    そして、淳(あつし)と結婚の約束をしたの。でも・・・」

由奈「でも、どうしたの?母さん」

真奈実「でも・・・亮は淳の両親に引き取られていった。

    私たちが結婚するまではあずかるって言ってた。

    でも、むこうのお母さんは、はじめからそのつもりだったのよ。

    その後も2年間私は彼とつきあっていたの。

    本当にお嫁に行くつもりだったのよ、私。

    でも、ふたりの仲は壊れてしまったの。」

 

 

 

 


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