ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第6話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 合格発表の2日後のことだった。

 由奈は真奈実と一緒にスーパーへ食料品の買い出しに来ていた。

 

真奈実「由奈、大学のことだけど、本当に川崎へ行くの?」

由奈「そのつもりだけど。」

真奈実「由奈がそれでいいならいいんだ。今の学校に未練がないのならね。」

由奈「母さん、決心が鈍るじゃないー。」

 

 帰り道、荷物を持ちながら、由奈は再び悩みはじめていた。

 (専門学校をやめて大学へ進学するのは正しい選択だったのだろうか?)

 そしてぼぉーっとしながら歩いていた。

 狭い舗道が続く道だった。

 いつしか由奈は車道へはみ出して歩くようになっていた。

 

 「キキーッ」と急ブレーキの音が鳴り響いた。

 

 キャーッ

 由奈の声があたりに響きわたり、彼女は気を失った。

 

 

 

 由奈が気づくと、救急車とパトカーが止まっていた。

 そして、救急車には担架に乗せられた真奈実が運び込まれるところだった。

 由奈の脳裏に焼きついた忌まわしい記憶がよみがえった。

 

 急ブレーキの音に気づき振り向くと車がせまっていた。

 その瞬間、真奈実が由奈を庇うように飛び出してきた。

 真奈実に突き飛ばされた、由奈。

 

 そう、はねられたのは由奈ではなく真奈実だった。

 

 救急車は真奈実をはねた運転手がよんだらしい。

 彼は救急隊員に状況を説明している。

 

 サイレンを鳴らしながら救急車は発進していった。

 

 救急車を見送った車の運転手の中年の男は、由奈のもとへ駆け寄ってくる。

 それに続いて、婦警もかけよってくる。

 

運転手「お嬢さん、大丈夫ですか?」

由奈「えぇ、私は。」

婦警「大丈夫?意識はしっかりしているようだけど・・・

   あなたも病院で念のため検査を受けた方がいいわ。パトカーで送るわ。

   起きられる?」

 

 

 由奈はゆっくりと体をおこす。

 

由奈「母は、どうなんですか?」

 

 婦警の手を借りて、由奈は立ち上がる。

 

運転手「何とお詫びしたらよいやら・・・・・・」

 

 彼はそう言って一枚の紙を由奈に手渡した。名刺だった。

 由奈は何も言わずにそれを受け取り、婦警に支えられながらパトカーの

 後部座席へと乗り込んだ。

 

婦警「辛かったら、横になってもいいからね。」

由奈「大丈夫です。」

 

 (私のせいだ・・・・)

 その言葉が由奈の頭の中を占拠していた。

 

 

 

 


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