ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第5話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 由奈の部屋で・・・。

 

まゆ「由奈、どうして大学なんか受けたわけ?」

 

 由奈はきょとんとして答える。

 

由奈「医者になりたいからよ。もちろん。」

まゆ「それだけ?」

 

 意味ありげにまゆが聞き返す。

 

由奈「もちろん、それだけよ。」

 

 由奈はますますわけがわからなくなってしまう。

 

まゆ「嘘つき!!あんたホントに大嘘つきね。

   由奈、あんたいつまで自分の心に嘘つくの?」

由奈「嘘なんてついてないよ。」

 

 由奈は穏やかに答える。

 

まゆ「私は嘘ついてないって自信もって言えるよ。

   暴走族(ゾク)のやつらと遊ぶことも、ピアノ弾くことも、

   恋することも・・・

   全く手を抜いたことないし、心のままに行動してる。

   でも、由奈は嘘つきだよ。恋だってなんだって、頭で考えてる。

   ズルイよ!!」

 

 まゆは興奮してまくしたてる。

 

由奈「まゆ・・・?」

 

 (どうしたっていうの、まゆ・・・?)

 

まゆ「このままでいいと思ってるの?あんた、一番大切な人を失ってもいいの?」

由奈「どういうこと?」

 

 由奈は少し険しい顔になって、聞き返した。

 

まゆ「それは由奈が一番よく知っているはずよ。

   私は一番大切な人のために暴走族(ゾク)と遊ぶのをやめたわ。

   昨日限りでね。あんたには一番はじめに言うわ。私、婚約したの。

   小さい頃からずっと好きだった人と。今はとてもしあわせよ。」

由奈「え・・・こ、婚約っていったい誰と・・・?」

まゆ「あなたもよく知っている人よ。かけるよ。月岡翔。」

 

 そう口にすると、まゆは頬を赤らめた。

 

 かけるは、みちるの一つ年上の兄である。

 

由奈「え、いつからつきあってたのよぉ。」

まゆ「中3の時からずっと・・・」

由奈「どうしておしえてくれなかったの?」

まゆ「冷やかされたくなかったの。それに、この人しかいないって

   思ってたから。」

由奈「じゃぁ、まゆ・・・」

まゆ「何?」

由奈「私と遥のこともしばらく放っておいてくれないかなぁ。」

 

 由奈の目がマジだった。

 恐ろしいほどに真剣だった。

 

まゆ「でも・・・遥クンだけじゃないのよ。あんたを想っているのは・・・。

   言いたかないケド言っちゃうわ。

   みちるもまだあんたのこと忘れられないみたい。」

由奈「とにかく、当分放っておいてよ。」

まゆ「わ、わかった。私が結婚する前までは我慢してあげる。

   次に私がこの話するときは覚悟しなさいね。」

由奈「ありがと、まゆ。」

 

 

 

 

 


Copyright 2005 星野さゆる. All rights reserved.

Never reproduce or republicate without written permission.