ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
2.進 路
第32話
Writer:星野さゆる
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帰宅途中の電話BOXから由奈は電話をかけていた。 相手は遥だった。 由奈「遥、元気?」 由奈の沈んだ声に、遥は由奈の身に何かあったことを感じとった。 遥―どうしたんだよ。もう会わない約束しただろ? (どんな顔で話せばいいんだよ・・・) 由奈「でも、電話しないとは言ってないもん。」 遥―そりゃ、そうだけど・・・ (困ったな・・・) 由奈の沈んだ様子に、遥は強く言うことができない。 急に由奈は明るい声になり、話をつづける。 由奈「ね、息抜きに遊びに行かない?」 遥―だから、お前・・・約束は? そうは言っているものの、遥は由奈が心配で仕方がない。 由奈が無理して明るい声を出していることがわかっているから。 由奈「1回ぐらいいいじゃん。」 遥―そうだな。じゃ、近場で江ノ島あたりに行くか? 由奈「うんっ!!」 遥―また何かあったんだろ?お前 この間のことはなかったかのように、遥は言葉を続ける。 由奈「うん、ちょっとね。」 遥―そっか。約束のことはとりあえず延期しとく。だから今からうちに来いよ。 由奈「でも・・・」 遥―いいから、来いよ!絶対だからな!! 遥の部屋で―。 遥「由奈、何があったんだ?」 由奈「うん。たいしたことじゃないよ。でも、友達ひとり失ったかな?」 遥「何だよ、それ?」 深呼吸をすると由奈は話しはじめた。 由奈「智菜とケンカしたの。どうしても許せなくって・・・」 由奈は必死で涙をこらえていた。 遥「由奈、お前今、すっごく泣きたいだろう。」 由奈「何で?」 遥「泣いてすっきりするんなら、泣いちまえよ。」 由奈「ごめん。結局めーわくかけちゃんだね、私。やっぱり帰るよ。」 その時遥は、立ち上がろうとした由奈の腕をつかんだ。 遥「オレの前なら、泣いたって叫んだってかまわないよ。」 由奈「ごめん。本当にごめん・・・もう強くなれたと思ってたケド、 やっぱり私、弱いんだね・・・・・・」 そのまま由奈は泣き出してしまった。 遥はそんな由奈を強く抱きしめるのだった。 |
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