ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第26話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 由奈は久しぶりにみちるを呼び出していた。

 

由奈「みちるくん、あのね。」

みちる「わかってる・・・言わなくていいよ。」

 

 『ホントにわかってるのかな?』と思いつつ、由奈は口を閉じた。

 

みちる「僕たち、ずっとこのままでいいはずないよね。

    このままじゃ、友人のままなんだよね。」

 

 みちるは大きく勘違いしていた。由奈はそれに気づいた。

 

みちる「本気だよ、僕は。愛してる。

    でも君がそういう風になるのを望まないなら、

    友達のままでもいいと思ってた。」

由奈「え゛っ?」

みちる「照れなくてもいいよ・・・」

 

 ならんで座った公園のベンチで、ふたりは大きくすれ違っていた。

 

 由奈がもう1度話を切り出そうとしたその瞬間、

 みちるの唇が由奈の口をふさいだ。

 

 由奈は思考回路がショートしてしまったかのように頭が真っ白に

 なってしまった。

 みちるが唇をはなしても、由奈は何も声を出せなかった。

 数分間ずっと。

 

 『そうだ。恋人ならば、これぐらいは当たり前なのだ。でも・・・』

 

由奈「苦しいよ、みちるくん。

   それに、今更かもしれないけど・・・

   私たちつきあっているとキズつけあうばかりだよ。

   もう、やめよう。こんなことは・・・・・・」

みちる「由奈ちゃん、何言ってるんだよ。僕はキズついてなんか・・・・・・」

由奈「ううん。私、あなたの気持ちわかってあげられないもの。

   今だってとってもびっくりしたし・・・キズついたもの・・・・・・。」

みちる「それならどうして・・・」

由奈「私には選べなかったの。

   目の前のしあわせと、好きっていってくれる男の子とを

   選ぶなんてできなかった。

   自分に嘘をついてた。

   好きって言ってくれたあなたを選んで・・・・・・

   後悔してるの。」

みちる「それじゃぁ、やっぱり・・・」

 

 由奈はこくんとうなづき、言葉を続けた。

 

由奈「私には遥の方が大切みたい。それがたとえ恋じゃなくても・・・」

  

みちる「由奈ちゃん、ごめん。僕、きづかなくって・・・

    君がしあわせになれるのならば・・・僕はそれでいいよ。

    お別れしよう。」

由奈「ごめんなさい、私・・・・・・」

 

 由奈はみちるに抱きついて泣いた。

 時間だけが流れていった。

 

 

 

 


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