ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
2.進 路
第24話
Writer:星野さゆる
そして夕里は・・・ 仕事が毎晩遅くなっていた。 まだ安定しきってない赤ちゃんにキケンがあるのはわかっていた。 けれど、誰にも言えなかった。 夕里「じゃ、麻人、行って来るわね。」 麻人「あぁ、気をつけろよ。交通事故増えてるからなぁ。」 ベッドから抜け出てきたばかりの眠い目をこすりながら、麻人は夕里を見送る。 夕里「わかってるってば。」 ふたりは玄関でいつものようにキスをして、夕里は飛び出して行った。 もう少し早く出ればよかったなぁ・・・ 夕里は走った。 走らなければ電車時間に間に合わない。 駅は坂を登った所にあった。 それでも夕里はがんばって走った。 が・・・ おなか痛い・・・たすけて・・・・・ 急なおなかの激痛で意識が薄れてゆく中で、 隣を走っていた近所のサラリーマン男性の声が聞こえた。 「大丈夫ですか!しっかりして!!」 気がついた時には、ベッドの上だった。 夕里「ん・・・あれ、ここは?」 サラリーマン男性「気がつきましたか?よかった。」 あれ?会社に行く途中だったような・・・ あ、そうだ!あの坂道で急におなかが痛くなって・・・ えっと・・・・・ ガチャン ドアが開き、医師(せんせい)が部屋へ入って来た。 医師「気分はどうですか?清水さん。赤ちゃんがいることは・・・・」 夕里「知ってます。先生、赤ちゃんに何かあったんでしょうか?」 サラリーマン男性「あっ、いえ。僕は・・・ 清水さん、君の家には電話してみたんだけど、 君の恋人は、もう家を出たあとだったみたいなんだ。」 夕里「今、何時なんですか?」 サラリーマン男性「夜の7時だよ。君は麻酔で眠っていたんだ。」 夕里「1日眠っていたんですね、私。」 医師「あとはあなたのパートナーがここに来てからお話しますよ。」 夕里「赤ちゃんに何かあったんですね!!」 サラリーマン男性「もう一回、君の家に電話してみるよ。ちょっと待ってて。」 電話はつながり、麻人とは連絡がついた。 夕里が倒れたとはつゆ知らず、麻人はのんびり夕食を作っていた。 話を聞き、病院へ飛ぶように走ってきた。 バタンッ! ものすごい勢いでドアが開いた。 麻人「夕里、大丈夫かー?」 夕里「あさとぉー。私・・・」 麻人の顔を見て気がゆるんだ夕里は泣きだした。 夕里に付き添っていた看護婦が、口を開いた。 看護婦「清水さん、この方がお相手なんですね。」 夕里は涙を拭きながら言った。 夕里「えぇ。婚約者です。」 |
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