ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第22話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 

 そして由奈は・・・。

 

 由奈は由奈で悩んでいた。

 まず何をすればいいのか・・・

 

 答えはわかっていた。

 

 みちるとは別れなくてはならない。

 これ以上いっしょにいても、ふたりともキズつけあってボロボロに

 なるだけなのだ。

 でも・・・・・・

 わかっていても、由奈にはそれを切り出す勇気がなかった。

 別れに耐えるという自信が持てなかった。

 

 そしてただ、学校での色々なことが過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

多恵子「Hey,由奈。昨日のSMAPスペシャル見た?」

由奈「ごめーん、そーゆー気分じゃなかったの。」

智恵理「うそぉ、見てないの、由奈。私見たよぉ。

    KinkiKidsも出てたし、Jr.のコたちも何人かいたよね。」

多恵子「うんうん。うめおばあちゃん見てたかなぁ?」

由奈「それならだいじょーぶよ。昔、遥が言ってたケド、

   うめおばあちゃんの部屋にはテレビが3つとビデオ3台があるって。」

多恵子「それははじめて聞いたなぁ。コンサートにはいっしょに行ってるケド、

    私生活(プライベート)までよく知ってるわけじゃないし・・・・・・」

由奈「そうなんだぁ。てっきり多恵ちゃんは知ってると・・・」

 

 

 言い終える前に、智恵理が口を開いた。

 

智恵理「遥ってダレ?」

多恵子「たしか、うめさんのお孫さんだよねぇ、由奈。」

由奈「うん。私のおさななじみなの。最近はアイツも予備校で忙しそうだよ。」

リカ「何言ってんのよ、由奈。

   あんたが遥くんって人を振ったってことはもう聞いてるよ。

私の情報はタ・シ・カよ!!」

 

 由奈は顔を赤くしてリカに向かってどなりつけた。

 

由奈「どこからそんなこと聞いたのよっ!!」

リカ「私の友達。今やってるドラマに出てる、片瀬智菜から聞き出したのよ。」

佳代「片瀬智菜って、あの障害者の母たちの生き方を描いたドラマ

   『Fight!』に出てる、片瀬智菜?」

リカ・由奈「うん。」

佳代「あの人、初めてのドラマの割によく演ってるよ。

   お母さんの片瀬菜美よりもずっといい女優になるってば、うん。」

 

由奈「智菜がねぇ・・・・・・いい女優かぁ・・・。

それよりリカ、どこで会ったのよ?」

リカ「それがねぇ・・・・・・」

 

 リカは高校時代の友達に誘われて行った『BLUE』のライブで、

智菜に会ったらしいのだ。

そして、リカのことだから、すぐに声をかけたのだそうだ。

 

由奈「リカ、智菜の様子はどうだった?」

リカ「ありゃぁ。暇さえあればライブに来てるってカンジだった。常連客だよ。

楽屋にも顔パスだったみたいだし。」

由奈「おかしいなぁ。智菜は1回私と観に行った時は、

あの音楽イヤがってたのに・・・。」

リカ「最近連絡とってないの?」

由奈「うん。今夜にでもTELしてみようかな。リカ。智菜情報サンキユ!」

 

 リカには明るく応えたものの、

3年間ずっと仲良しで、お互いを知っていたはずの智菜の行動が、

由奈には全く見えなかった。

 

 

 

 


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