ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第19話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 そんなある日・・・。

 

ひかる「こんにちはーっ!!あの、由奈ちゃんいますか?」

 

 ひかるが由奈をたずねてきた。

 

真奈実「あら、ひかるちゃん。お久しぶりね。

    由奈ならもうすぐ帰ると思うから、上がって待っていてちょうだい。」

ひかる「いいんですか、おばさん。」

真奈実「えぇ、もちろん。どうぞ。」

 

 ひかるは30分待った。

 

由奈「ただいまーっ!」

真奈実「遅かったじゃない、由奈。ひかるちゃんが来てるわよ。」

由奈「どうして、また・・・」

 

 

 

由奈「どうしたの?ひかる・・・」

ひかる「亮とはどういう関係なの?」

由奈「うちの母さんの実の息子らしいわよ。結婚する前の・・・」

 

 ひかるはむすっとして続ける。

 

ひかる「そうじゃなくって・・・あんたたちの関係よ。」

由奈「心配しなくていいよ。そりゃ、キスされたこともあったけど・・・」

 

 由奈が言い終える前にひかるが口をはさんだ。

 

ひかる「キス・・・ですって?!」

 

 ひかるは目が点状態だ。

 

由奈「不可抗力だと信じたいけど、私のミスなのかなぁ、やっぱり。

   私、無防備になりすぎてた。」

ひかる「それ以上の関係にはなってないわよね!」

 

 ひかるは由奈を睨みつけて言う。

 由奈も思わずひるみそうになるが、心を落ち着けて話す。

 

由奈「それ以上だったら『犯罪』よ!!」

ひかる「なら・・・いいケド。はじめてなの、本気になれたの。

あの人がはじめてなの。」

由奈「私はあんな得体の知れない人、イヤだけど・・・・・・」

ひかる「それから・・・翔(かける)に聞いたんだけど、

みちるとつきあってるってホント?」

由奈「一応、ね。」

 

 言って由奈はため息をついた。

 

ひかる「なんだ、乗り気じゃないんだ。それならさっさと別れちゃいなさいよ。」

由奈「でも・・・・・・」

 

 由奈には決心がつかない。

いや、つけられないのだ。

 

ひかる「あんた、昔からずっと遥くんのことが・・・・・・」

 

 由奈はかぶりをふった。

 

由奈「言わないで!!そんなに都合のいいことできないもん。」

 

 ひかるの表情がかたくなった。

 

ひかる「あんたまさか、遥くんをふって、みちると?」

 

 由奈は声もなくうなずいた。

 そして、ひかるのひざの上へつっぷして泣きだした。

 

ひかる「由奈・・・どうしてそんなこと・・・」

 

 ひかるは由奈の背中をなでながら言う。

 

由奈「そうするしかできなかったのよぉ・・・・・・」

 

 

 

 


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