ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第18話

Writer:星野さゆる

 

   

 

 

 

   昼休み

 

リカ「みんな聞いて。今日、由奈ったら1時間目寝てたんだよー。」

由奈「ひどい、リカ。みんなの前でバラさなくてもいいでしょ。」

 

 リカ、ひどいよ。もう充分反省してるってば・・・。

 

智恵理「でも、1時間目って眠いよね。私、気持ちわかるなぁ。

     簿記とか寝ちゃいたいよね。」

清香「でも、今日は臨床医学だったのに・・・。大丈夫?

   ノートコピーする?」

 

 清香はカバンから取り出したノートを由奈にさし向ける。

 

由奈「ありがとー、清香ぁ。

   リカなんか頼んでるのに貸してくれないんだよ。」

 

 こんな優しい清香が看護学校に入れなかったなんて、

 神様ってひどいかも。

 ノートだってこんなにキレイにとってるし。

 頭もよさそうだけどな、清香って。

 

リカ「由奈のためを思ってよっ!!」

清香「でも由奈、どうしてそんなに眠かったの?」

多恵子「もしかして、由奈も昨日の『SMAP×SMAP』観てた?」

 

 多恵ちゃんって、いつもSMAPの話してる。本当に好きなんだなぁ。

 うめおばあちゃんも好きなんだよね、SMAP。

 多恵ちゃんとはそれで友達になったんだけどね。

 

智恵理「昨日は野球が延長して、夜中に放送だったんだよねぇ。」

多恵子「さすがの私もビデオとって寝ちゃったよ。」

智恵理「由奈、オンタイムで観てたの?」

 

 ん?

 

由奈「え、観てないよ・・・」

智恵理「え、観てたんじゃないの?」

 

 智恵理が大きな声を出す。

 

由奈「うん。」

 

 なんで私が『SMAP×SMAP』観てたと思ってるの?

 私、SMAPが好きだって言ったことなんてないのになぁ。

 

佳代「みんな甘いわね。私は『SMAP×SMAP』の後に放送の

   連ドラ見てから寝たよ。」

 

 

 佳代は連ドラおたくなんだよね。

 でも佳代ってすごく頭イイんだよね。

 かなりテレビばっかり観てるのに、テストもいつもいい点だし、

 私たちが講義でわかんなかったところ、いっつもわかってるもんね。

 きっと天才なんだろうなぁ・・・。

 

智恵理「すごーい、さすが佳代ちゃん!

     あ、でもまだ中身は話さないでね。」

佳代「わかってるよ、智恵理」

 

 佳代はあきれながら、智恵理に答える。

 

    

 智恵理って人見知りする方だから、一見おとなしそうに見えるのけど、

 実はミーハー。ジャニーズ大好きだし・・・。

 そうそう、新学期が始まったばかりの頃は智恵理って

 幼なじみの佳代としか口が利けなかったんだっけ・・・。

 いつも佳代の後ろにかくれて、佳代を通して私たちと会話してて・・・。

 

 「智恵理はひどい人見知りなだけだから、冷たくしないでやって」って、

 佳代が私とリカに頼み込んできたこともあった。

 

 佳代は智恵理のためには何でもします的優しさを持ってる。

 

 けど、今では多恵ちゃんとあんなに仲良くしてて・・・。

 しゃべらない智恵理なんて考えられない。

 なんか可笑しい・・・

 

 由奈は専門学校へ進学し、新しい友人と楽しい学生生活を送っていた。

 

    

 この生活以上のものは何も要らなかった。

 でも、問題は残ったままだった。

 

   

 

 

   

 


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