ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第14話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 12月が飛ぶように過ぎ1月が風のように去り、

 とうとう試験のある2月がやってきた。

 

 とはいっても、大学受験は1月に終えたようなものだ。

 2月はすべり止めである専門学校の受験があるのだ。

 由奈はペーパーテストに合格し、二次試験の面接を受けることになっていた。

 しかし・・・

 面接当日、由奈は風邪をひき高熱を出していた。

 頭も体もいつものようには動かなかった。

 結果は不合格だった。

 それだけならまだよかったのだが、第一志望である大学も不合格だった。

 

 由奈は今からでも受験できる医療系の専門学校を必死でさがした。

 1校だけ医療秘書科の二次募集をしているのを見つけ、

 すかさず願書を送り、その学校への進学が決まった。

 

 一方遥は、第一希望の大学には不合格だったものの、

すべり止めの大学には合格。

 しかし納得できず、浪人を決意し予備校の入校手続きを済ませた。

 

 智菜は、12月のはじめに横浜へ買い物に行った時に

芸能プロダクションにスカウトされた。

 菜美の娘ということもあって、すぐにデビューが決まった。

 しかし、本人の強い希望で女子短大へ進学し、

 学生と芸能人の二足のわらじでがんばることになった。

 

 由衣は智菜と同じ短大に進学が決まった。

 

 そして由紀は、全敗状態で来年再度チャレンジすることになり、

 遥と同じ予備校に通うようになる。

 

 

 

 

 

由奈「これから智菜は忙しくなるんでしょう?」

智菜「うん。短大と仕事と行ったり来たりになっちゃう。」

由奈「送別会の代わりといっては何だけど、何かおごるよ。横浜まで行こう!」

智菜「わざわざいいよぉ・・・」

由奈「だって会えなくなるじゃない、卒業したら・・・」

智菜「じゃ、そうしよっかな。」

 

 ふたりはそんな会話をしながら、

 淋しさを身にしみるように感じていた。

 会話はそこで止まってしまった。

 

智菜「そういえばね・・・」

 

 智菜が先に口を開いた。

 

智菜「そういえば最近ね、藤井クンとよく会うのよ。家の近くとかでね。」

由奈「智菜のこと好きなんじゃないの?実は。」

 

 由奈はおどけて言ってみた。

 

智菜「あの人って、由奈のことが好きなんでしょう?」

 

 智菜は以前から思っていたことを言ってしまった。

 (しまった)・・・と思いながらも。

 

由奈「そんなことない、ない。」

 

 由奈はまだおどけてしゃべっていた。

 (なぜ急にそんなこと言うの?)

由奈からすれば智菜の言葉は不思議だった。

 

智菜「でも、普通はじめて会った人にライブのチケットなんかくれる?」

由奈「そういやそんなこともあったわね。」

 

 由奈は普通の表情に戻り、つぶやくように言った。

 

 ふたりは横浜でのショッピングを心から楽しんだ。

 楽しんだのだが、由奈の心の片隅には智菜の言葉がひっかかっていた。

(藤井クンとのことは、たいしたことなかったのに・・・。

智菜ったら今頃何言ってるんだろう・・・・・・。)

 

 

 

 

 

 あっという間に2月には終わり、3月1日の卒業式を迎えた。

 

遥「由奈、進路は別になっちゃったけどこれからもお互いにがんばろうぜ。」

由奈「わかってる。」

智菜「また遊ぼうねぇ・・・」

 

 智菜は早くも涙声だ。

 

由奈「わかってるよぉ。」

 

 由奈は涙をこらえていた。

 そして、(何だかこの半年近くの間に色々あったなぁ・・・)

 と夏以降に起こった様々なことを思い出していた。

 

 

 

 


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