ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第13話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 12月に入った。

 由奈は再度片岡に呼び出されていた。

 

片岡「偏差値が足りないぞ。」

由奈「わかってます。でも・・・

受けてみます。専門学校の方も併願で・・・・・・。」

片岡「そうか。とりあえず、がんばってみろ。」

由奈「はい。」

 

 (よおし、がんばるぞぉ!!)

 由奈はそんな気持ちでいっぱいだった。

 みちるへの返事はすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

 図書室で―。

 

 図書室は、受験をひかえた3年生でいっぱいだった。

 由奈は面接の受け方についての本をさがそうとしていた。

 そしてそこには、みちるがいた。

 

由奈「みちるクン、お勉強?」

みちる「いや、図書委員だから・・・当番日なんだ。」

由奈「そ、そうなの・・・」

 

 なんとなく、ふたりはいつもよりぎこちなかった。

 

みちる「もうピアノは弾かないの?」

由奈「あ、うん。たぶん。」

みちる「そうかい。」

由奈「みちるクン、あの、あのね。話があるの・・・」

みちる「おーい熊田ぁ・・・たのむ、ちょっと用ができたから。」

熊田(図書委員)「おーぅ。戻って来いよぉ。」

みちる「わかってるって。」

 

 由奈とみちるは図書室を出た。

 

 

 

 少し歩くと、中庭に出た。

 みちるはベンチに座った。

 由奈はとなりに座ると、口を開いた。

 

由奈「私・・・みちるクンとなら、つきあってもいいよ。

   でも、お互い受験だし、いつもいっしょにいることも

   できないと思うケド・・・・・・。」

 

 由奈が言い終える前に、みちるは由奈に抱きついて言った。

 

みちる「ありがとう、ありがとう・・・」

 

 そう、何度もくりかえすように。

 

 

 

 


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