ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第8話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 

 一方遥は、ベッドに寝ころびぼぉーっとしていた。

 自分がなんてキザなことを言ったんだろう、とか

 本当にこれでいいのだろうか?とか考えながら。

 

信一「おい、遥。ちょっと入るぞ!」

遥「あ、あぁいいけど・・・」

 

 

 兄の信一は遥が返事を終える前に、部屋にずかずかと入り込んできた。

 

信一「お前さ、少しはオレの気持ちも考えてくれないかなぁ。」

遥「オレが何かやった?」

 

 

 信一はやたら興奮してるのだが、遥にはわけがわからない。

 

 

信一「受験シーズンの真っ只中、現役のお前と違ってオレは辛い身なんだよ。」

遥「ふむふむ。で?」

信一「お前と由奈ちゃんが仲がいいのはわかるけど・・・

   隣の部屋まで聞こえる声でラブシーンするなよ。」

遥「あ、兄貴・・・聞いてたのかよ。ひどい。」

 

 

 遥は恥かしさのあまり、言葉が出ない。

 

信一「こっちの方が困るんだよ。

1年間女の子とは会わないようにしてるんだからな。

   オレの決意をにぶらせるようなことするなよ!」

遥「そんなことより・・・・・・

そんなにオレらは声がでかかったのかい?」

信一「オレの部屋には筒抜けだよ。姉さんも聞いてたかも知れないぞ・・・」

遥「そんなぁ・・・・・・」

 

 

 信一の言葉に遥は絶句した。

 

 

瓔子(えいこ)「信ちゃん、遥、夕食よぉっ!!」

 

 

 1階から瓔子の呼ぶ声がした。

 ふたりは1階へと駆け降りていった。

 

 

 遥にはその声が信一から逃がしてくれる、天使の声に聞こえたのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 ごはんをよそいながら瓔子が口を開く。

 

 

瓔子「遥、ごはんのあと、少しだけ話があるんだけど・・・」

うめ「今日は久しぶりに肉じゃがにしてみたよ。

たまにはもっともらしい食事をしないとね。」

 

 

 うめおばあちゃんの作る肉じゃがは絶品なのだが、

 今日の遥には味わう余裕はなかった。

 

 

 

 


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