ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第6話

Writer:立川ナツキ

 

 

 

 

 

 ヨウの家

 

ユナ「こんばんわー。」

 

 ヨウが玄関を開けた。

 

ヨウ「どうした。何かあったか?」

ユナ「ちょっといいかな。話したいことがあるの。」

ヨウ「ま、入れよ。」

ユナ「じゃ、おじゃましまーす。」

 

 ユナはあいさつをすると、ヨウの部屋へヨウといった。

 

ヨウ「何、話って?」

 

 ヨウは床に座りこむ。

 そしてユナのためにざぶとんがわりのクッションをしく。

 ユナはその上に座る。

 

ユナ「今日ね、カナミちゃんとこでピアノ弾いてきたの。

   気持ちが落ち着いたの。」

ヨウ「らしいな。朝よりすっきりした顔してるもんな。」

ユナ「うん。・・・・・・。あのね、怒らないで聞いてほしいの。」

ヨウ「おれが怒るって?怒らないからいってみぃ。」

 

 ユナはそう言われると、少し胸が痛かった。

 ユナはヨウの顔を見ず、下を向いたまま、口を開いた。

 

ユナ「あのね、リョウさんにキスされちゃったの。ごめんね。」

ヨウ「キスされたって?」

ユナ「気がついたらされてた。ごめんね。

   ファーストキスはヨウにあげるつもりだったのに。ホントにごめんね。」

ヨウ「いいよ。別にあやまんなくても。悪いのは佐藤亮なんだから。

   そんなに気になるなら・・・」

 

 ヨウはそこで言葉をとめると、ユナの顔を自分に向かせ、自分の唇を

 ユナに重ねた。

 ユナはただぼうぜんとしたままだった。

 ヨウは唇をはなすと、

 

ヨウ「なっ、これで消毒になるよ。これがファーストキスだと思えばいい。」

 

 ユナはコクンとうなづいた。

 

 

 

ユナ「チナに言われた。ぶつかったとでも思ってしまえばいいって。

   そうよね、さっきのキスがファーストキスだと思えば・・・。」

 

 ユナは泣きじゃくりながら話す。

 

ヨウ「だろ。ま、悔しいけど、ユナがそう思ってくれればいい。

   ユナが今は一番大切なんだから。」

 

 涙をふいて、ユナは言う。

 

ユナ「ありがとう。今ね、決めた。ヨウにたよるんじゃなくて、追いついてく。

   自分のペースで強くなってく。

   もし、立ち止まったら、自分でまた前へ進めるように―。」

ヨウ「そっか、じゃ、おれはいつもふりむいてユナを導いていくよ。

未来のために・・・。ユナ、好きだ」

ユナ「・・・私も好き。ヨウのことが好き。」

 

 ユナとヨウは、もう一度唇を重ねた。さっきのキスより長く・・・。

 

 

 

 ユナはヨウのほおにキスをすると帰っていった。

 

 ヨウは夢のように感じてた。

 ユナと両想いになれたことを。

 

 そして、明日がまちどおしくなった。

 ユナにまた会えることを。

 

 

 

 


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