ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
2.進 路
第5話
Writer:立川ナツキ
カナミの部屋 ユナはピアノに近寄ると、ふたをあけて、鍵盤をポーンと鳴らした。 カナミ「なつかしいですか?」 ユナ「すごく。やめたの高2の終わりだから。」 カナミ「さっきの楽譜です。」 ユナ「ありがとう。」 ユナは椅子に腰かけると、鍵盤の上に手をおいた。 深呼吸すると、弾きはじめた。 思ったより、手が動く。感覚は忘れてなかった。 カナミはびっくりした。そして、もったいないと思った。 ユナがピアノをやめてしまったことに。 ユナがふと弾くのをやめた。 カナミ「どうしたんですか。途中でやめて。」 ユナ「・・・・・・。」 ユナはまた弾き続けた。 そうして、だんだん落ち着いていく自分を感じた。 曲の終わりに近づくと、知らずと涙がこぼれていた。 自分の中にある何かがそうさせてた。 カナミはびっくりしてしまった。ユナの涙に。 カナミ「どうしたんですか、先輩。」 ユナは涙を拭きながら言う。 ユナ「わからないけど、涙がこぼれてくるの。 ありがとう。弾いたらすっきりした。」 カナミ「そうですか。」 ユナは涙を拭き終わると口を開いた。 ユナ「ちょっと、いろいろあってね。 ピアノ弾いたら、少しずつ、何をやったらいいか、わかった。 ごめんね、泣いちゃって。 アドバイスになるかわからないけど、いいかな。」 カナミ「してくれるんですか。やったー。」 ユナは楽譜の所々を指さし、アドバイスしていった。 カナミ「ありがとうございました。お暇でしたら、来てくださいね。 発表会。あ、チケットあったんだ。」 カナミは机の中からチケットを取り出すと、ユナにわたした。 ユナは受け取ってカバンにいれた。 ユナ「こちらこそ、助かったわ。ホントにありがとう。じゃ、帰るね。」 カナミ「ちょっと待ってください。送らせますから。」 ユナ「いいわよ。寄っていきたい所あるから。」 カナミ「そうですか。いつでも来てくださいね。待ってますから。」 ユナ「ありがとう。」 ユナはカナミの家を出ると、ヨウの家へ向かった。 |
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