ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

2.進 路

 

第4話

Writer:立川ナツキ

 

 

 

 

 数日後

  放課後

 

 ユナは帰ろうとした。

 その時後ろから少女の声が聞こえた。

 

少女「高岡先輩!先輩!」

ユナ「カナミちゃんか。どうしたの。」

カナミ「相談にのってほしいことあるんですけど、いいですか。」

ユナ「いいわよ。」

カナミ「公園でいいですか。」

ユナ「いいわよ。ただし、恋の悩みはダメなの。」

カナミ「そうじゃないですよ。ピアノのこと。」

ユナ「ピアノか。いいけど、私もう弾けないよ。」

カナミ「いいんです。公園で待ってますね。」

 

 カナミは駆け出して行ってしまった。

 カナミは昔、ピアノ弾いてた頃から知り合いで、時々相談にのっていた。

 

 公園に行くと、カナミがベンチに座っていた。

 

カナミ「先輩、すみません。」

ユナ「いいのよ。どうしたの、今日は。」

カナミ「スランプで弾けないんです。ピアノが。」

ユナ「めずらしいわね。カナミちゃんがスランプなんて。何か原因あるの?」

 

 カナミは黙ってしまう。

 

ユナ「あるわけね。近く、コンクールでもあるの?」

カナミ「発表会があるんです。でも感情が込められなくて・・・。」

ユナ「いつなわけ、発表会は。」

カナミ「一週間後です。」

ユナ「そっか、困ったわね。それは。何を弾くわけ?」

カナミ「これなんですけど。」

 

 カナミはカバンの中から楽譜を出す。

 そして、ユナに渡した。

 ユナは楽譜を見る。

 

ユナ「へぇー、立川風子さんのだ。

   ねっ、悪いんだけど、カナミちゃんちに行って弾かせて欲しいんだけど

いいかな?」

カナミ「本当ですか?助かります。でも、いいんですか?ピアノ弾いても。」

ユナ「気晴らしにね。気持ち落ち着かせたいし。たまにはいいじゃない。

ピアノ弾くのって。」

カナミ「そうですね。これからですか」

 

 ユナは首を横にふる。

 

ユナ「今はね・・・あっ、まって。母に聞いてみてくる。

ね、これから一ヶ月ほど一時間でも30分でもいいから弾かせてくれ

るかな。」

カナミ「いいんですけど、大丈夫ですか?」

ユナ「はぁ、受験さえなければねぇー。思いっきり弾けるのに。」

カナミ「仕方ないですよ。よかったら、うちで弾いてって下さいよ。

    うちの人、よろこびますから。」

ユナ「そうさせてもらうわ。」

 

 そう言ってユナは左腕の時計を見る。

 

ユナ「4時か。ホントにいいかな。30分ばっかしひきたいんだけど。」

カナミ「いいですよ。じゃ、ちょっと待っててください。

    うちに連絡してくるから。」

ユナ「私もしてくるから、一緒にいこう。」

カナミ「はい。」

 

 ユナとカナミは公衆電話の所に行った。

 最初にカナミが話し、次にユナが連絡をいれた。

 

ユナ「あっ、母さん、ユナだけど。

   気晴らしにカナミの家でピアノ弾いてきていいかな。」

マナミ―カナミちゃんはいいのかい?

ユナ「大丈夫。気持ち落ち着かせたいから弾いていい?」

マナミ―いいわよ。帰ったら勉強しなさいね。

ユナ「わかってる、じゃ5時頃には帰るから。」

 

ユナは受話器を置いた。

 

 

 

 


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