ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
1.由奈と遥
第26話
Writer:星野さゆる
次の日―。 私は覚悟を決めていた。何が起きても驚かないように。 遥「由奈、ちょっといいかな?」 放課後の図書館に呼び出された私は、こわかった。 全てがくずれてしまいそうで。 が・・・ 遥「オレ、内緒で少しずつ調べてたんだ。早乙女由香梨って人のこと。 早乙女って苗字は芸名で、本名じゃないんだ。 彼女は大学教授だった工藤氏の三女として生まれているんだ。 長女咲也花(さやか)さん、次女咲里奈(さりな)さんの三人姉妹で、 母親は小学校の先生だったらしいよ。 由奈の母さんの真奈美さんと同じ劇団に、片瀬さんのお母さんと3人で いっしょに所属していたんだ。」 由奈「どうして、そんなこと・・・」 由奈はとまどっていた。 予想と全く違う遥の話に。 そして、遥が調べてくれていたという現実に。 遥「最後まで聞けよ。」 遥は戸惑っている由奈を気づかいながら、話を続ける。 遥「3人は仲が良かったらしい。中学の時から18年前まで・・・ だけど、18年前・・・ 由奈の父さんがお前の実の親である由香梨さんと出会ってしまって・・・。 彼女は子供ができたことを誰にも言わずに死ぬつもりだったらしい。 自殺未遂事件が19年近く前に起こっている。 その事件でお前の母さんと片瀬さんのお母さんは、事実を知ったんだろう なぁ。その後、由奈の母さんは舞台からおりている。 そして片瀬さんのお母さんはテレビや映画に進出している。 お前が由香梨さんの娘なのは、ほぼまちがいないと思う。」 由奈「で?」 遥「ただし、気になるのは、あの佐藤亮って人だよ。 なぜ今頃あらわれたのか。彼の父親が死んだのは3年前のことなんだ。」 由奈「何ですって!!じゃあ・・・」 遥「そう、偽者ってこともありうる。 そうじゃなきゃ、ほかの目的があるはずだ。」 由奈「亮さんが・・・そんな・・・・・・。」 遥「とにかく気をつけろよ。オレの話はこれだけだよ。」 由奈は予想とは全く違う話の展開にも、驚きっぱなしだった。 |
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