ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第24話

Writer:星野さゆる

 

 

 受付が終わったあと、遥と由奈は北海道から来た4人と合流した。

 そこで遥は、もっとショックなことを聞くようになるのだった。

 

麻人「オレとユリがつきあいはじめたのは5月だった。

   ヨウがいなくなって、ユリがひとりぼっちに見えたんだ。」

夕里「実際、ヨウとつきあいはじめてから女の子に反感買ってたから、私。

   いつのまにか友達を失ってた。そんな時アサトの存在に気づいたの。

   ずっとそばにいてくれたのに気づかなかった。私。」

麻人「そんなのいいさ。別に」

由奈「それで、今ふたりはどういうつきあいなの?」

夕里「人前で言うようなことじゃないと思うケド・・・」

 

 そこへ智菜がまざってきた。

 

智菜「まぜて!私、片瀬智菜。よろしくね。」

由奈「麻人クンと夕里ちゃんの関係をどう思う?智菜。」

 

 智菜はわざとらしくにこーっと笑うと

 

智菜「さぁ恥ずかしがらずに言っちゃえ!どこまで進んでんの?」

 

 そう言って麻人と夕里をかわるがわる肘でつつき、耳に手をあて

 メガフォンをつくる。

 

 遥はもうこれ以上聞きたくなかった。

 

遥「ふたりともやめろよ!言いたくないって言ってるだろう?」

由奈「あんたが聞きたくないだけじゃないの?みっともない、強くなり

   なさいよ。」

 

 由奈は冷たく言い切る。

 

遥「バカ。」

 

 言い残して遥は学園祭でにぎわう校舎の中へ消えて行った。

 

 

 

 遥が去ると同時に夕里のそっけない態度は変化した。

 

夕里「ヨウには言うのが辛かった。私も。だけど・・・今を知って欲しい。」

由奈「なら、言わなきゃダメよ。ホントのこと。」

夕里「ううん、あなたから、由奈ちゃんから伝えて。私とアサトは・・・

高校卒業したらすぐに結婚するの。」

智菜「つまり、子供ができてもおかしくないとこまでいっちゃったんだぁ。」

 

 コクンと夕里はうなずいた。

 その表情はイヤミなほどに由奈に似ていた。

 そして、由奈はそのことにとっくに昔に気づいていた。

 遥がなぜ夕里を好きになったのかも・・・

 

由奈「ごめん。やっぱり自分から伝えて。私には言えない。言う権利ないよ。」

 

 由奈は自分を好きでいてくれる遥の気持ちを、

 ことごとく、わざと無視してきた。

 けれど・・・もう無視できないかも知れない。

 

 由奈の気持ちを察した智菜が口を開く。

 

智菜「私が話そうか?」

夕里「やっぱり自分で言う。そうだよね、由奈ちゃんから言えるわけないよね。」

 

 夕里は納得するようにつぶやくと、遥をさがしてひとごみの中へ消えていった。

 

智菜「なんか、遥クンがかわいそうな気もするなぁ。」

由奈「でも、現実から逃げてたら、何もはじまらないよ。」

 

 

 

 


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