ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第23話

Writer:星野さゆる

 

 

 10月

 

 最後の学園祭まであと数日。

 私たちのクラスでは水ヨーヨーとわなげをするらしい。

 色々あって私はそれどころではなかった。

 

由奈「遥、あんたは受付何時?」

遥「日曜の朝11時〜正午」

由奈「私といっしょの時間じゃないの。何で?」

 

 遥はその質問には答えずに話しはじめる。

 

遥「学園祭に北海道のころの彼女が来るんだ。」

由奈「どんな人?」

遥「会えばわかるよ。」

 

 

 

 

 

 そして学園祭当日―。

 

 私と遥はクラスの受付をしていた。

 

由奈「彼女、本当に来るの?」

遥「そう手紙には書いてあったケド・・・」

由奈「来ないんじゃないの?」

遥「あっ、おーい ユリ!」

夕里「ヨウ!!元気だった?」

 

 由奈は遥の脇腹を肘でつつきながら小声で言った。

 

由奈「紹介してよ。」

 

 入口で私たちは仕事もすっかり忘れて話しはじめた。

 

遥「こちら、清水夕里(しみずゆうり)・・・さん。で、ユリ、こちらは由奈。」

由奈「よろしく高岡由奈です。」

夕里「あなたのことは聞いてたわ。私夕里(ゆうり)。みんなユリって言う

   けどね。」

遥「由奈、本当に会っちまえばわかるだろ?」

由奈「何が?」

遥「お前、気づかないのかよ。」

由奈「うん。」

夕里「今日は麻人(あさと)といっしょに来たの。アサト!」

麻人「ヨウ!久しぶりだな。」

遥「悟とかは?」

麻人「悟と千夏もいるよ。ほら、あそこに」

 

 麻人は後ろをふりむいて指をさした。

 

夕里「私ね、ヨウがいなくなっても淋しくなかった。きっと、本当に好きじゃ

   なかったんだと思う。今は麻人といて、すっごく落ち着くんだ。

   だから・・・」

 

遥「そうかい。」

 

 冷静に返したかのように見えるその言葉が実は、遥のせいいっぱいの

 言葉だった。

 夕里と麻人がくっついてしまったことが悔しかった。

 

 

 

 


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