ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第20話

Writer:星野さゆる

 

 

 由奈の家

 

由奈「ただいまーっ!!母さん、いる?」

真奈実「おかえり、由奈」

智菜「こんにちは。おじゃまします。」

真奈実「ゆっくりしていってね、智菜ちゃん。」

 

 智菜の家が崩壊寸前だってことを、

 週刊誌で読んで知っていた真奈実は何も聞かずにそう言った。

 

真奈実「あっそうだ。由奈、おつかいに行ってほしいんだけど・・・」

由奈「どこに?」

真奈実「おとなりのお届けものが、まちがって来てしまって・・・」

由奈「届ければいいのね。母さんったら、どうしてうめおばあちゃんが苦手なのかしら

ねぇ。」

真奈実「だって・・・うめさん若いんですもの・・・。」

由奈「母さんが年くってるんじゃないの?ま、別にいいケドね。」

 

 由奈は今までのように平静を装いながら言った。

 

真奈実「あぁっ、智菜ちゃんは由奈の部屋にいて。

あとで飲み物でも持っていくからね。」

智菜「すみません。ご迷惑かけて・・・」

真奈実「いいの、いいの。」

由奈「お届けものって何?」

真奈実「そこにおいてある風呂敷の中なんだけど・・・」

由奈「じゃ、行ってくるね。智菜、マンガでも読んでてよ。」

 

 

 

 

 

 成宮家で

 

 いつものようにチャイムなしで玄関のドアを開けた。

 

由奈「こんにちはーっ!」

遥「は〜い。」

 

 大声で返事をしながら遥が玄関まで走ってきた。

 そして彼は面倒くさそうな顔をしてぼそっという。

 

遥「何だ、由奈かよ。」

 

由奈「悪かったわね。おばあちゃんは?」

 

 言い終える前に台所の方からうめがあらわれた。

 

うめ「おやおや 由奈ちゃんじゃないかい。」

由奈「おばあちゃん、これお届け物。まちがってうちに届いちゃったの。」

うめ「そうかい。ところでちょっとお茶でも飲んでかないかい?

   今、SMAPのコンサートビデオを見てたんだよ。

   やっぱり中居ちゃんのMCは笑えるよ。」

由奈「おばあちゃんったら。(笑)でも今日はやめとくね。友達が来てるの。」

遥「片瀬さんのこと?」

由奈「うん。智菜はこれまでだって淋しい生活してたから・・・

   今の出来事ってすごいショクだと思うのよねぇ。

   ものすごく淋しいんだと思う。」

遥「そうか。何かあったらオレに言えよ。」

由奈「うん。」

うめ「まぁ、今日のところはこのお菓子でも持っていっておくれ。」

 

 そう言ってうめは白い紙箱を差し出した。

 由奈はその箱を開けてみる。

 

由奈「うわぁ、私、これ好きなのよ『ペコちゃんのほっぺ』」

うめ「そうだろう、そうだろう。

   CMをしてる佐野クンと国分クンもなかなかいい子たちだよねぇ。」

 

(これを書いていた当時不二家「ペコちゃんのほっぺ」「生クリームinシュー」のCMを、ジャニーズJr.の佐野瑞樹,国分博がやっていました。)

 

由奈「おばあちゃんってば色々知ってるわねぇ」

 

 私は少しあきれたようにつぶやいた。

 

うめ「『生クリームinシュー』も実は買ってあるんだよ。ふっふっふっ。」

 

私はそのぶきみな口ぶりに何も言えなくなってしまった。

 すると遥は、もう手に負えないというような口ぶりで忠告してくれた。

 

遥「ばぁちゃん、わかったからそのふてきな笑いはやめてくれ・・・」

 

うめ「じゃぁわたしはビデオの続きを見るから。またね、由奈ちゃん。

今日は焼肉だから用意が楽なのだ!はっはっはーっ!!」

遥「ばぁちゃん、最近そればっかじゃん。」

うめ「そうだったかい?まぁ、まぁ。食えるだけありがたいと思いなさい。」

 

 私はふきだしてしまった。

 

遥「なんだよ、他人事だと思って・・・」

 

 遥は口をとがらせる。

 

由奈「おばあちゃんってば、ぜんぜん変わってないんだもん・・・」

遥「ばぁちゃん、ビデオじゃなかったの?」

うめ「おっ、そうじゃった。それじゃ、お先に失礼!」

 

 うめおばあちゃんはそういって茶の間に引っ込んでいった。

 

遥「オレ、由奈に話さなきゃいけないことがあるんだ。」

由奈「何?」

 

 目をぱちくりさせながら聞く。

 

遥「小泉由紀に好きだって言われた。」

由奈「で?OKしたの?」

遥「まさか。オレ、北海道にいるときつきあってた娘いるし・・・」

由奈「いるし・・・何?」

遥「あいつみたいなヤツ、好きになれない。嫉妬ぶかそうだし・・・」

由奈「そう。で、何で私に言うわけ?」

 

 私は黙ってしまった遥に背を向けて、家へと戻った。

 

 

 

 


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