ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第17話

Writer:立川ナツキ

 

 

 翌日の昼休み

 ユキはユナの所に行くと

 

ユキ「ユナ、話があるんだけど、いい?」

ユナ「いいけど、何?」

ユキ「屋上であなたとふたりっきりで話したいの。」

ユナ「わ、わかったけど、やけに不機嫌ね。」

ユキ「昼、食べ終わったらきてよね!」

 

 ユキはそのまま由衣(ゆい)の所へ戻っていった。

 

ユナ「何かな。」

チナ「もしかしたら、ヨウくんのことじゃない?」

ユナ「忘れてた。ユキってヨウのこと好きだったんだよね。」

チナ「やばいんじゃない、一波乱おこりそうね」

ユナ「他人事みたくいわないでよ。ま、最近ヨウと一緒にいること多かったしね。

甘えすぎてるのかもね。ヨウに。」

チナ「一応、それなりの説明をするか、もしくは、ユナにとってヨウくんは何なのか

説明するかよね。」

ユナ「私にとってのヨウ、わかんないわよ。ただ大切な親友ってことしか。」

 

 チナはちょっと笑って

 

チナ「まだユナは気づいてないのかも知れないね。」

ユナ「何よ、それ。さてと、早く食べ終わらせていかないと、

ユキがますます不機嫌になるわね。」

チナ「そうね。」

 

 

 

 

 

 ユナは昼食を食べると、屋上へ向かった。

 屋上のドアを開けるとフェンスの側にユキが立っているのが見えた。

 

ユナ「ユキ、何、話って。」

ユキ「ヨウくんとつきあってんの?」

ユナ「違うわよ。ただ、色々あっただけ。」

ユキ「昨日、ヨウくんと自転車2人乗りして帰ってたでしょ。」

ユナ「うん、そうだけど、それが何?」

ユキ「ねっ、私がヨウくんに告白してもいい?」

 

 ユナはユキのその発言にびっくりしてしまった。

 気をとりなおすと口を開いた。

 

ユナ「別にいいんじゃない。告白したって。結果はわからないけど。」

ユキ「いいのね、告白しても。」

 

 ユキは念を押すようにそういう。

 

ユナ「いいわよ。私には関係のないことだもん。」

ユキ「じゃ、今日の放課後告白するね。」

ユナ「がんばってね。」

ユキ「ごめんね、変なこときいて」

 

 そう言って、ユキは屋上を出ていった。

 ユナはふぅーっっとタメ息をつく。

教室へ戻ろうと歩き出したとき、声がした。

 

男「なっ、あんた、どうすんだ。」

 

 ユナは声のするほうをさがした。

 すると、屋上のドアの上に男が座っていた。

 

ユナ「あなた、立ち聞きしてたの、悪趣味ね。」

男「昼寝してたら、あんたらの声が聞こえたんだよ。

  で、ここから降りるに降りられずにいたんだよ。」

ユナ「そう、じゃ、失礼するわ。」

男「あんた、名前は。」

ユナ「普通人に名前をたずねる時は自分からいうものじゃない。」

男「おれか、藤井和馬(ふじいかずま)、2年。」

ユナ「うわさの藤井くんね。話は聞いてるわ。プレイボーイくん。」

カズマ「おれをしってるのか」

ユナ「当たり前よ。女泣かせのプレイボーイとね。うわさは聞いてるもの。」

カズマ「で、あんたの名前は」

ユナ「高岡由奈、3年よ。早く行かないと、授業はじまっちゃうわよ。」

カズマ「後からな。」

ユナ「そういってさぼるんでしょ。ちゃんと出ないとダメだよ。」

カズマ「みんなそういうけどな。」

ユナ「ま、今日はみのがしてあげよう。次回はダメだよ。大学にも行けないし、

就職もできないんだから。」

カズマ「そうでもないよ。あっ、そうだ。」

 

 カズマはそこで止めると下におりてきて、ポケットから紙切れを2枚だした。

 

カズマ「ひまだったら、きなよ。バンドやってるからさ。」

 

 カズマはユナに紙切れをわたした。

 

ユナ「BLUE・・・ひまだったら、友達とくるね。じゃ。」

 

ユナは教室に戻っていった。

 

カズマ「高岡由奈か。さてと、もう一眠りするか。」

 

 

 

 

 

 教室

 

 ユナはギリギリに教室に入っていった。

 後ろの席のチナが背中をつついた。

 

チナ「どうだった?」

 

 小声で聞いてくるチナに、ユナも小声で答える。

 

ユナ「別に。今日あたり告白するらしいわよ。」

チナ「告白!」

 

 チナは思わず大きい声で言ってしまった。

 

先生「何の告白かな、片瀬。」

チナ「なんでもありません」

先生「そっか、ま、あまり大きい声を出さないでおくれよ。

   もう1回やったら外に出るように。」

チナ「はい。」

 

 チナは授業が終わると、ユナにもう一度聞いた。

 

チナ「どういうことよ。ユキが告白することをOKしたわけ?」

ユナ「そうよ。それがどうかしたの。そうしただけで壊れるっていうの?

   私とヨウの仲が。そんなことないわよ。」

チナ「そう。ユナがそういうならいいけど。」

 

 チナは納得してないようにいう。

 

ユナ「あっそうだ。これ、もらっちゃった。うわさの藤井和馬に」

チナ「えーーっ、あの藤井に。」

ユナ「そう、で、ひまだったら来てだってさ。」

 

 チナは、ユナの出したチケットを見た。

 

チナ「明後日の午後5時からね。行けそうね。ねっ、私も行っていい。

その藤井とあってみたいし。」

ユナ「行こうか。さて、次化学よね。」

 

 チナは急に話題を戻す。

 

チナ「うん。でも、ホントにいいわけ。もし、ヨウくんがOKしたら。」

 

 ユナはさびしげにほほえむと、

 

ユナ「私がどうのこうのいったって仕方ないわよ。ヨウの考えしだいなんだから、

   ま、くっついたら、さみしいけどね」

チナ「ま、そうよね。私にはそういう人いないからわからないしね。」

ユナ「結果はこの授業が終わってからじゃないかしらね。」

 

 そういって、ふっとヨウのことを見つめる。

 ヨウはクラスメイトと話していた。

 ユナの視線に気がつくと、ユナの方へきた。

 

 

 

ヨウ「ユナ、大丈夫か、お前。」

ユナ「何が。あっ、昨日はホントにごめんね。迷惑かけちゃって。」

ヨウ「別にいいよ。その調子じゃ大丈夫だな。」

ユナ「大丈夫だよ。ヨウがいてくれて助かった。ホントにありがとう。」

ヨウ「改めていわれると、テレるな。

   ま、また何かあったら、オレか片瀬さんにでも話しな。なっ、片瀬さん。」

チナ「力になるからね。ユナ。」

ユナ「ありがとう。けど、チナも大丈夫?」

 

 チナはちょっとだけ間をおくと、

 

チナ「何とかね。ねっ、今日、そっちに泊まっててもいい。」

ユナ「いいけど、どうかした。」

チナ「放課後、タンポポにつきあってくれる?」

ユナ「わかった。」

ユナ「お願いね。」

 

 チナは念を押すようにいう。

 

 

 

 


Copyright 2004 立川ナツキ&星野さゆる. All rights reserved.

Never reproduce or republicate without written permission.