ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第3話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

由奈「まってよぉー!ねぇ、ちょっと待ってってばーっ!」

自転車少年A「おい、あの娘何なんだ?」

由奈「そこの人、まって!」

 

 私はどこかで見たことのある少年をずっと追いかけている。

 しかし、彼はいっこうに自転車を止める気配を見せない。

 

由奈「ねぇ、まってってばぁーっ!!」

 

 その時、シグナルが青から赤へと変わった。

 

自転車の彼「ちぇっ!」

由奈「はぁーっ、はぁーっ、やっと・・・追いついたぁ。」

自転車の彼「あのさぁ、どーでもいーんだケドでかい声で呼ぶなよなぁ。」

由奈「そんなこと・・・はーっ、いったって・・・ふーぅ・・・」

自転車の彼「やっぱお前って、いっつもいっつも無茶ばっかするよなぁ。」

 

 その言葉で確信した。遥だ!

 

由奈「そんなこと言ったって・・・遥だっていっつも無茶してたじゃない。」

 

 やっぱりそうだった。

 私が追いかけていた彼は、成宮遥(なるみやよう)。

幼なじみなんだけど、小6の時ご両親のお仕事の都合で北海道へ

引っ越しちゃったんだよね・・・

 

 

 

 

 

遥「お前さぁ、かわってないな。」

由奈「何が?」

遥「じゃ、聞くけどさぁ、オレん家どこだか知ってる?」

 

 ぶんぶんと顔を横に振った。

 だって、そんなのわかんないもん。

 

由奈「普通、そーゆーのってあんたから言うもんでしょう。」

遥「でもねぇ、信じてくれんのかねぇ。由奈の場合・・・」

 

 だから、どこなのよぉ・・・

 

由奈「どこなのよ。」

 

 由奈は遥をせかすように言った。

 

遥「お前ん家のトナリ!」

由奈「へっ?」

 

 由奈は目が点になってしまった。

 

遥「だから、お前の家のトナリなんだってば。」

 

 どういうこと?

 

由奈「だって おとなりは・・・」

遥「山口さん家だって言いたいんだろ?」

 

 ぶん、ぶん(うん、そう、そう。)

 

 目が点のまま由奈はうなづく。

 

遥「ところが今日から成宮一家が住むんですねぇ、これが。」

 

 由奈はぼうぜんと立ちつくしていた。

 ぶつぶつとつぶやきながら・・・

 

由奈「ようがトナリ・・・ようがトナリ・・・」

遥「由奈、大丈夫か?お前、ひとりごと言ってるぞ。」

 

 

 

 

 


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