Anniversary
記念日1:ひまわりの季節(とき) 2
「おばーちゃん、はやくぅー。」
「はいはい、そんなにあわてるとあぶないよ。」
公園までの道を、遥はうめの手をひっぱりながら走った。
そして、公園につくと、一目散に砂場へと走った。
「あーっ!」
オレは砂場のふちにつまずき、砂場に転んでしまった。
「よう、大丈夫か?」
ばあちゃんは急いで走り寄り、うつぶせに転んだオレを抱き起こしてくれた。
「ばーちゃーん・・・」
びっくりして泣き出してしまったオレを、ばあちゃんは抱きしめてくれた。
そして体中についた砂をほろってくれた。
「おひざ、いたいの?男の子は泣いちゃダメだよ!」
その時、聞き覚えのない声がした。
涙を両腕でぬぐうと知らない女の子がいた。
真っ白な肌、ばら色のほお、サラサラの黒髪はおかっぱ頭。
彼女は半袖の白いシャツを着て赤いスカートをはいていた。
かわいい・・・
はじめて女の子のことをかわいいと思った瞬間だった。
声も出なくなってしまうくらいに・・・。
「ゆな、ないしょにしてあげるね。」
そう言って彼女は小さなポシェットの中からハンカチを取り出し、オレの目にあてた。
オレは言葉が出なくなってしまった。
「おひざ、だいじょうぶ?」
言われてひざを見ると、真っ赤な血が流れ出していた。
「あっ、血だ!」
痛みを感じていなかったのに、赤い血を見てオレはまたこわくなってしまった。
「ばあちゃん・・・」
思わずまた、ばあちゃんにしがみついてしまった。
「あら、擦りむいちゃったのね。ちょっと待っててね。
ばあちゃんハンカチ濡らしてくるからね。」
そういい残してばあちゃんは水のみ場へと駆けていった。
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