Anniversary
記念日1:ひまわりの季節(とき) 1
オレの家は当時、横浜にあった。
オレたちきょうだいが年子だったため、母は長い産休をとっていた。
が、母が仕事復帰することになり、幼かったオレは鎌倉のばあちゃんにあずけられることになった。
「ようくん、おばあちゃんのとこでいい子にしてるのよ。」
「はーい!おかあさん」
「お義母さん、なるべく早く迎えに来ますので、すみませんがよろしくお願いします。」
「いーんじゃよ。遥と遊べて楽しいんじゃから。」
「それじゃ、いってまいります。」
オレは優しくて気持ちの若いばあちゃんのことが大好きだった。
だから、母と離れることは苦ではなかった。
「おばーちゃーん、早くあそぼーよー」
「はいはい。そーじゃなー、公園に行こうね。」
「こうえんってブランコある?」
「ブランコもすべり台もお砂場もあるよ。」
「おすなばもあるの?」
「なんじゃ、お砂場は嫌いだったかな?」
遥はぶんぶんと首をふった。
「おすなばで『おしろ』つくるのだーいすきだよ。でも・・・」
でも・・・おかあさんがお砂場はダメって言うんだ・・・
「でも・・・どうしたんじゃ?」
「おばあちゃん、おこらない?おすなあそびしても・・・」
夕子さん、あまり砂遊びはさせていないんじゃな・・・
まぁ3人も幼児がいれば仕方ないのかもしれんが
かわいそうに・・・
遥の母、夕子は服が砂まみれになるのを嫌がり、時々しか砂遊びをさせなかった。
「おこったりしないよ。ばあちゃんと一緒にお城作ろうね。」
「ホント?」
遥の表情がぱぁっと明るくなる。
「ほら、バケツも熊手もあるよ。」
「わーい!」
喜びのあまり、遥は部屋の中をぐるぐると走りまわった。
すなあそび・・・すなあそび・・・
遥の心は弾んでいた。
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