ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第32話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

遥「おじさんから電話とかこないのか?」

由奈「私、遥といっしょにいたいの。

   お父さんにどう思われてもいい、遥のそばで勉強したい。

   ひとりは淋しすぎるよ・・・」

 

 どうしたんだよ、由奈。

 お前らしくないよ・・・

 

 いっしょにいたいって思ってもらえるのはうれしいけど、

 それでいいのか?

 

 いつになく弱気な由奈に用は戸惑っていた。

 

 

 ひとり暮らしをはじめた由奈は、一週間もしないうちにほとんど毎日、

 遥の部屋に泊まりこむようになってしまったのだ。

 

 

 

由奈「前に言ったよね、遥のことが好きだって。

   だから、1分でも1秒でも長く・・・いっしょにいたい!」

 

 由奈は目を潤ませる。

 

 だめだよ、由奈。

 そんな表情(かお)するなよ。

 ガマンできなくなるだろう?

 

由奈「もちろん、恋人には戻れないかも知れないって思ってる。

   でも、私にはあなたが必要なの・・・・・・」

 

 しばしの沈黙のあと、遥は静かに話しはじめた。

 

遥「オレ、待つって言っただろ?」

 

 由奈はコクリとうなずく。

 

遥「由奈がいっしょにいたいと思ってくれるのは、正直死ぬほどうれしいよ。

  でも・・・ダメだよ。由奈らしくないよ。」

 

 ダメだよ・・・このままじゃオレはお前を・・・・・・

 

 遥は、由奈が泊まっても指一本彼女にふれていなかった。

 ふれたとたんに全てがくずれてしまうような気がしていたから。

 

 

 

 


Copyright 2005 星野さゆる. All rights reserved.

Never reproduce or republicate without written permission.