ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜
3.解けない謎
第27話
Writer:星野さゆる
4月―。 由奈と遥は医大に入学した。 遥はひとり暮らしをはじめ、由奈は大学の女子寮に入った。 智菜は悩み続けていた。 どうすれば由奈とまた笑いあえる日がくるのか、考えていた。 そして決意した。 言い訳でもいい、あの日のことを話そう。 由奈とこのまま離れてしまうなんて耐えられない。 智菜は由奈の暮らす女子寮をたずねた。 智菜の心はボロボロだった。 近頃では仕事も全てキャンセルしてしまう有様だった。 マスコミに「わがまま女優」とたたかれても、「恋だけの女」と書かれても、 智菜の心には届かなかった。 そばにいる和馬も、なぐさめの言葉がみつからないほどだった。 「あの、こちらに高岡由奈さんいらっしゃいますか?」 対応してくれたのは寮母と思われる30代後半の女性だった。 「由奈ちゃんのお友達かしら?」 「ええ、昔は。今は・・・わかりませんけれど。」 そう言って智菜は口ごもる。 「あれ?もしかして女優さんの・・・片瀬智菜ちゃん?」 「あ、はい。あの、由奈はいるんでしょうか?」 智菜がいぶかしげに彼女を見ると、 彼女はパチンと手をたたき、にっこりと笑った。 「あら、ごめんなさいね。すぐに由奈ちゃんを呼ぶわね。」 そう言って彼女は管理室の中へと消えた。 内線で呼び出してくれているようだ。 数分後、由奈はロビーに姿をあらわした。 |
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