ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

1.由奈と遥

 

第5話

Writer:星野さゆる

 

 

由奈は智菜にも内緒で実はある人を想っていた。

 その人とは・・・

 姉の理奈のバイト先の仲間で 専門学生の浅井雅人という人だった。

 姉は面倒見のいい人間なので、幾度か我が家にも連れて来たことがある。

 実家は仙台で、ひとり暮らし・・・という所までは調べたのだが・・・・・・。

 

由奈「お姉ちゃん、私ね、好きな人がいるの・・・」

理奈「どうせ、浅井クンでしょう・・・」

由奈「あんたの態度ってバレバレだもん。

   あんたには遥クンがいるでしょーに。」

由奈「なんで遥がでてくんのよっ!!」

理奈「あんたと遥クンってお似合いだと思うケド・・・・・・」

 

 理奈はそう言って少し笑った。


由奈「と・に・か・く!浅井さんに手紙を渡して欲しいんだよね。」

理奈「別にいいわよ。」

由奈「ありがとう。」

理奈「ただし、返事が悪くても落ち込まないって約束できるなら、だけどね。」

由奈「わかった。」

 

 由奈が理奈に手紙を託してから一週間が過ぎた。

 

理奈「浅井クンからの返事よ。」

由奈「ありがとう」

 理奈がドアを閉めると同時に由奈はその手紙を開いた。

   由奈ちゃんへ

     お手紙ありがとう。

     ごめんなさい。

     僕には・・・ほかに好きな人がいます。     

     由奈ちゃんはいい子だし、妹みたいに思っていました。

     もちろん今でもです。けど、それ以上にはなれないと思うのです。

     本当にごめんなさい。

     由奈チャンの思いはとってもうれしかった。

                       浅井雅人より 

 

 由奈はなんとか最後まで読むと、姉の部屋のドアを開けた。

 

 

由奈「お姉ちゃん・・・やっぱりふられちゃった・・・

   好きな人が・・・いるんだって・・・・・・」

理奈「ごめん。私が手紙を渡さなきゃよかった。私、気づいてたから

   浅井クンには好きな相手がいること・・・」

 理奈は由奈を抱きしめて泣き出してしまった。

由奈「お姉ちゃんのせいじゃないってば・・・」

 

 ふたりはしばらくのあいだいっしょに泣いた。

 

 

 

 

 


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