ミステリーは止まらない〜鎌倉・由奈伝説〜

3.解けない謎

 

第38話

Writer:星野さゆる

 

 

 

 

 『今日も智菜は遅刻かな?』

 

 そう思いながら、由奈は空を見上げていた。

 

 きれいな空だなぁ・・・

 そういえばあの日も、こんな雲ひとつない青空だった。

 

 由奈は、高3の夏、遥と再会した日のことを思い出していた。

 

 

智菜「ごめーん、由奈。撮影がおしちゃってー。」

由奈「いいよ、智菜の遅刻には慣れてるし。」

智菜「もうっ、由奈のいじわるー。」

 

 そんな言葉を交わしながら、ふたりは笑った。

 そして、高校の頃よく来ていた喫茶店へ入った。

 

 

 

智菜「どう、遥くんとはうまくいってる?」

由奈「うん、まぁね。」

 

 言って、由奈は顔を赤らめる。

 

智菜「ね、同棲ってどんなカンジなの?」

 

 智菜は興味津々とばかりに由奈の顔をのぞきこむ。

 

由奈「ね、智菜・・・」

智菜「ん?」

由奈「私、遥と同棲なんてしてないよ。」

智菜「でも、いっしょに住んでるんでしょ?」

由奈「うん。」

智菜「じゃ、同棲でしょ?」

 

 由奈はぶんぶんと首を横にふった。

 

由奈「私たちのは同居だよ。今はこれがベストな関係なの。」

智菜「どうして?」

 

 そうだよね・・・普通はそう思うようね。

 でも私たちは、そんなカンタンじゃない。

 

 私が遥を好きって気持ちは変わらないけれど、

 私たちの関係は、解けないミステリーのように続いていくんじゃないかな?

 

 きっと、いつまでも・・・・・・

 

 

 由奈は、ガラス窓の外の青空を見上げた。

 

由奈「ね、智菜・・・空が青いね・・・」

智菜「もうっ、答えになってないよー、由奈・・・」

 

 

                                    第三部   了

 

 

 

                                              あとがき

 

 


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